「遮熱率」と「遮熱効果率」の違いって?アンベルが2つの数値を公開する理由

  • 日傘の遮熱性能を示す「遮熱率」と「遮熱効果率」には違いがあります。
  • 「遮熱率」は生地単体の性能、「遮熱効果率」は製品としての傘がもたらす涼しさを測る数値です。
  • アンベルはより正確な情報提供のため、形状や縫製による影響も考慮した「遮熱効果率」を公開しています。

最近、ある大手衣料品ブランドが遮熱効果を訴求した日傘を発売したことで、「遮熱」という言葉に注目が集まっていますね。日差しが強くなるにつれて、多くの方が「涼しい日傘が欲しい!」と感じていることと思います。

 

そんな中、アンベルの「ヒートブロック」のプロダクトページをご覧になったお客様から、「遮熱率と遮熱効果率、2つの数値が書いてあるけど、一体どっちが正しいの?」「どう違うの?」というお問い合わせをいただくことがあります。

 

ご心配なく!私たちは決して皆さんを混乱させたいわけではありません。むしろ、ヒートブロックの遮熱性能をより正確に、そして実感に近い形でお伝えしたいという、アンベルの真剣な想いから、あえて2つの異なる遮熱性能の数値を公開しています。

 

今回は、この「遮熱率」と「遮熱効果率」の違い、そしてなぜ両方を公開しているのかを、分かりやすくご説明させていただきます。

「遮熱率」は“生地”の性能を見るもの

まず、「遮熱率」からご説明しましょう。これは、主にJIS L 1951という公的な試験方法に基づいて測定されます。この試験は、傘の「生地」そのものが、どれだけ熱を遮る能力があるかを評価するために行われます。

 

イメージとしては、小さな箱の中に生地をセットし、熱源を当てて、生地がどれだけ熱を通さないかを測るようなものです。生地単体の性能を見る上では非常に有効な方法です。

 

しかし、この試験方法には一つ特徴があります。それは、熱がこもりやすい閉鎖的な環境で行われるため、どうしても遮熱率の数値が伸びにくい傾向にあるということです。これは、製品としての傘が実際に使用される環境とは少し異なる点とも言えます。

「遮熱効果率」は“傘として”の涼しさを測るもの

一方、アンベルが特に重要視し、皆さんの「使用感」に最も近いと考えているのが「遮熱効果率」です。これは、JIS規格とは異なるQTEC法(傘の遮熱性評価試験)という方法で測定されます。

 

「遮熱効果率」とは、傘が太陽の熱をどれだけ遮ってくれるのかを示す数値です。この数値が高いほど、実際に傘の下に入った時に「涼しい!」と感じられる効果が高いことを意味します。

 

この試験の最大のメリットは、以下の点にあります。

  • 製品試験:生地だけでなく、実際に皆さんの手に届く傘の製品そのものの性能を評価します。

  • 開放系:測定部は完全に開かれており、試験中に無用に熱がこもらないようになっています。これにより、より実際の使用環境に近い状態で測定できます。

  • 傘と体の距離を考慮:長傘と折りたたみ傘では、さした時に体までの距離が異なりますよね?この試験では、それぞれの種類ごとに測定位置の距離を設定することで、いっそう製品の特徴を捉えた、リアルな結果が得られます。

  • 人工太陽光:実際の太陽光に近い条件を再現できる人工太陽照明灯を使用し、精密な試験を行っています。

 

<実際の試験方法(遮熱効果率)>

具体的な試験方法は、以下のようになります。

  1. 傘を固定し、その上に太陽の光を模したライト(人工太陽照明灯)を30分間当て続けます。

  2. 傘の下(人体を想定した位置)に温度計を置いて、2分ごとに温度を測定します。

  3. 傘がない状態でも同じようにライトを当てて、温度を測定します。

  4. 実験環境は、温度約25℃、湿度約50%に保たれています。

 

<遮熱効果率の計算方法>

測定されたデータをもとに、以下の計算式で遮熱効果率を算出します。

  • 遮熱効果(℃) = 傘がない時の温度上昇 - 傘がある時の温度上昇

  • 遮熱効果率(%) = 遮熱効果(℃) / 傘がない時の温度上昇 × 100

<例えば>

傘がない時の温度上昇が37℃で、傘がある時の温度上昇が5℃だったとします。

  • 遮熱効果(℃)= 37℃ - 5℃ = 32℃

  • 遮熱効果率(%)= 32℃ / 37℃ × 100 = 86.5%

このように、実際に「どれくらい涼しくなったか」をパーセンテージで示してくれるのが、遮熱効果率なのです。

遮熱効果率を公開している商品

なぜアンベルは2つの数値を公開するのか?

アンベルが「遮熱率」と「遮熱効果率」という2種類の遮熱性能の数値を公開しているのは、まさに製品の遮熱性能を多角的に、そして誠実に消費者の皆さんへ伝えたいという強い思いがあるからです。

 

生地単体の性能を示す「遮熱率」ももちろん重要ですが、傘製品そのものの形や、生地の縫製技法によっても遮熱効果は変わってくるため、実際に傘として使用した時にどれだけ涼しさを感じられるかをより正確に表現できるのが「遮熱効果率」だと考えています。

 

「お客様に本当に涼しさを届けたい」その一心で、アンベルは他社に先駆けてこの「遮熱効果率」の測定と公開にも真剣に取り組んでいます。決して皆さんに混乱を与えたいわけではなく、むしろより詳細で、よりリアルな情報を提供することで、納得して日傘を選んでいただきたいと願っています。

 

今年の夏も、アンベルの「ヒートブロック」で、太陽の下でも快適にお過ごしくださいね!