日傘選びにおける注意点

よくある誤解と後悔しないための7つのチェックポイント

日差しが気になる季節、日傘は快適な外出をサポートする重要なアイテムです。しかし、製品選びの際には様々な情報があり、どれを基準に選べば良いか迷うことも少なくありません。購入後に「期待していた効果と違った」といった後悔をしないためにも、日傘の性能表示や機能について正しく理解しておくことが大切です。

 

このページでは、日傘選びでよく見られる誤解を解き明かし、本当に価値のある製品を見極めるための具体的なチェックポイントを7つご紹介します。

日傘選びにおける主な誤解1:「UVカット」表示があれば「涼しい」のか?

日傘を選ぶ際、「UVカット」の表示があれば、同時に涼しさも得られると期待されることがあります。しかし、これは必ずしも正しくありません。

  • 「UVカット」と「涼しさ(遮熱性)」は異なる性能です。
    • UVカット(紫外線遮蔽)とは、太陽光に含まれる紫外線をどれだけカットできるかを示す性能です。紫外線の主な影響は、肌の日焼け(サンバーン・サンタン)、シミ・そばかすの生成、そして長期的な影響としてシワやたるみといった「光老化」です。UVカット効果の高い日傘は、これらの肌へのダメージを防ぐことを主な目的としています。
    • 一方、涼しさ(遮熱性)とは、太陽光による熱エネルギー(主に赤外線)をどれだけ遮断し、傘の内側の温度上昇を抑えることができるか、という性能です。日傘をさした際に感じる体感的な涼しさは、この遮熱性能に大きく左右されます。

したがって、日傘に涼しさを求める場合は、「UVカット」の表示だけでなく、「遮熱効果」「遮熱性あり」といった表示や、その具体的な説明(例:近赤外線カット率、生地の特殊構造、遮熱試験の結果など)があるかを確認することが重要です。 例えば、アンベル社開発のHEATBLOCK®は、高いUVカット性能に加え、近赤外線を大幅にカットすることで優れた遮熱性を実現し、傘下の温度上昇を抑えることを目指しています。

日傘選びにおける主な誤解2:「UVカット」と表示されていれば紫外線対策は万全か?

「UVカット」と表示されている日傘であれば、どれも同程度の高い紫外線防御効果が期待できると考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここにも注意すべき点があります。

  • 「UVカット」表示だけでは不十分。具体的な「UVカット率」の確認が推奨されます。
    • 日傘の「UVカット」表示に関しては、業界で統一された厳密な法的基準があるわけではありません(※注)。一般的に、紫外線遮蔽率がある一定の基準(例:90%)を満たしていれば、「UVカット傘」「紫外線対策傘」などと表示されることがあります。 (※注:ただし、消費者に誤解を与えるような不当な表示は、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)により規制されています。) そのため、「UVカット」と記載されていても、実際の紫外線カット率には幅がある可能性があります。90%カットの製品もあれば、99%以上、あるいは限りなく100%に近いレベルでカットする製品も存在します。

より確実な紫外線対策を望むのであれば、「UVカット」という言葉だけでなく、具体的な「UVカット率(紫外線遮蔽率)〇〇%」という数値表示を確認し、できる限り100%(JIS規格L1925の測定値で99.9%以上など、極めて高い数値)に近い製品を選ぶことが望ましいでしょう。 参考までに、HEATBLOCK®はUVカット率100%(UPF50+)を達成しており、高い紫外線防御性能を有しています。

後悔しない日傘選びのための7つのチェックポイント

上記の誤解を踏まえ、さらに製品の品質や使い勝手を見極めるために、以下の7つのチェックポイントを確認することをお勧めします。

  1. 【生地性能】UVカット率・遮光率・遮熱性を数値や具体的な説明で確認
    UVカット率は限りなく100%に近いもの、遮光率も100%(JIS規格1級遮光など、濃い影を作れるもの)が理想的です。涼しさを重視する場合は、「遮熱効果あり」の表示に加え、「近赤外線カット率」や「遮熱試験結果(例:〇〇%熱をカット、傘内外の温度差〇℃など)」といった具体的なデータが開示されているかを確認しましょう。これらの情報を積極的に開示している製品は、性能に対する自信の表れとも言えます。

  2. 【耐久性・耐風性】骨の素材・構造は適切か
    軽量性も重要ですが、簡単に破損してしまっては意味がありません。親骨や受骨の素材(例:カーボンファイバー、グラスファイバーなどの軽量高強度素材)、骨の数や太さ、ジョイント部分の強度などを確認しましょう。耐風試験の結果(例:風速〇m/s耐風など)が示されていれば、より信頼性が高まります。

  3. 【重量とサイズ】携帯性とカバー範囲のバランスは最適か
    高機能であっても、重すぎたり大きすぎたりすると日常的に使うのが難しくなります。ご自身のライフスタイル(通勤、レジャーなど)を考慮し、持ち運びやすさと、日差しや雨を十分にカバーできるサイズ(開いた時の直径)のバランスが良いものを選びましょう。

  4. 【開閉機構】操作のスムーズさと安全性は確保されているか
    手開き式、自動開閉式など、開閉方法も様々です。特に自動開閉傘の場合は、ボタン操作のスムーズさや、開閉時の安全性(例:意図しない飛び出しを防ぐ機構、指を挟みにくい構造など)が考慮されているかを確認することが大切です。可能であれば、実際に操作感を試してみるのが良いでしょう。

  5. 【晴雨兼用としての性能】撥水・耐水性は十分か
    「晴雨兼用」と表示されていても、撥水性が一時的なものや、小雨程度しか対応できない製品もあります。生地表面だけでなく、しっかりとした撥水加工(例:Easy-Dry加工のような持続性の高いもの)が施されているか、また、ある程度の雨量にも対応できる耐水圧の目安などが示されていれば、雨天時も安心して使用できます。

  6. 【デザインとカラー】長期的に愛用できるか
    機能性に加え、長く使い続けられる気に入ったデザインや色であることも重要です。ただし、機能面も考慮し、例えば傘の内側の色は、地面からの照り返しによる紫外線を吸収しやすい濃色系(黒など)が推奨されることもあります。

  7. 【メーカーの信頼性】情報開示とアフターサービスはどうか
    製品の素材、性能試験の結果、原産国などの情報が明確に開示されているか。また、品質管理体制や、万が一の際の保証制度、修理サービスの有無なども、製品を長く安心して使用するための重要な判断基準となります。

まとめ:適切な情報に基づいて、最適な日傘を選びましょう

日傘は、夏の強い日差しや紫外線から身を守るための有効な手段です。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、製品の表示や宣伝文句だけでなく、その背景にある性能や品質を正しく理解し、ご自身の目で確かめることが重要です。

 

本稿でご紹介した「よくある誤解」と「7つのチェックポイント」が、皆様が日傘を選ぶ際の一助となり、より快適で満足のいく製品選びに繋がることを願っております。適切な情報に基づいて選ばれた日傘は、暑い季節の頼もしい味方となるでしょう。